毎月の印刷・配布コスト、手間のかかる編集作業・・・。
「もっと効率的に発信できないか」と感じている広報・総務担当者は多いのではないでしょうか。
近年はリモートワークの普及もあり、紙の社内報からデジタル社内報へ移行する企業が急増しています。
本記事では、社内報をデジタル化するメリットや導入時の注意点、成功のポイントを広報・総務担当者向けに解説します。
社内報のデジタル化とは

社内報のデジタル化とは、従来紙の冊子で配布していた社内報を、Web上やアプリで閲覧できる形に移行することを指します。
パソコンやスマートフォン、タブレットから社内報にアクセスでき、いつでもどこでも最新情報を確認できる仕組みです。
リモートワークの普及により、物理的に社内報の配布が難しくなった企業も増えており、デジタル化が注目されています。
デジタル社内報であれば、情報をリアルタイムで閲覧することが可能です。
デジタル社内報の配信方法と選び方

デジタル社内報の配信方法は、主に3つのタイプに分けられます。
メール配信型
メール配信型は、記事へのリンクをメールで送る方法で、特別なシステムが不要で導入しやすいのが特徴です。
ただし、メールが埋もれてしまうリスクや、閲覧データの取得が難しい点がデメリットです。
Webサイト型
Webサイト型は、内部ネットワークやクラウド上に社内報専用のサイトを構築する方法です。過去の記事を整理して保管でき、検索機能も充実しています。
ブログ感覚で記事を作成でき、運用の自由度が高いことがメリットです。
ただし、従業員が自発的にアクセスする必要があるため、閲覧を促す工夫が必要になります。
専用アプリ型
専用アプリ型は、スマートフォンアプリを通じて配信する方法で、プッシュ通知機能により確実に情報を届けられます。アプリを開くだけで簡単にアクセスでき、閲覧率が高まりやすい点が魅力です。
初期費用や月額費用がかかる場合が多いものの、閲覧データの分析機能が充実しており、効果的な運用が可能です。
自社の規模、予算、従業員の働き方に合わせて最適な配信方法を選びましょう。
社員のITスキルにばらつきがある企業ならメール配信型、現場作業が多い企業ならアプリ型、デスクワーク中心ならWebサイト型が向いています。
社内報をデジタル化する5つのメリット

印刷・配送コストを削減し、業務効率を向上
デジタル化の最大のメリットは、印刷や配送といった物理的な費用コストを大幅に削減できる点です。
従業員数が多い企業では、年間で数百万円規模のコスト削減も期待できます。
編集・配信作業もオンライン上で完結するため、修正や更新も即時に行うことができ業務効率化につながります。
スピーディーな情報共有
デジタル社内報なら、リアルタイムでの情報共有が可能です。
例えば、経営方針の変更や新規プロジェクトの発足、緊急の業務連絡など、タイムリーに伝えたい情報をすぐに配信できます。
プッシュ通知機能を使えば、重要な情報を従業員のスマートフォンに直接届けることもできるため、見逃しを防げます。
閲覧データの可視化と効果測定
閲覧数やクリック数、滞在時間などをデータで分析できることも大きな強みです。
どの記事がどれだけ読まれているか、どの部署の関心が高いかなどを把握できます。
例えば、「新入社員紹介」記事が最も読まれている場合は、今後も“人”に焦点を当てた特集を増やすなど、人気テーマを次の企画に反映できます。
また、閲覧が少ない部署にはターゲットを絞った記事を作成するなど、読者データをもとにした戦略的な運用が可能です。
双方向コミュニケーションの実現
コメント欄やリアクション機能を活用すれば、社員が意見や感想を共有でき、読むだけの社内報から”参加型の社内報”へ進化します。
部署を越えたコミュニケーションの促進や、社内エンゲージメントの向上にもつながります。
ESG・SDGsへの貢献
紙の使用量削減は、環境負荷の軽減にもつながります。
「ペーパーレス推進」を掲げる企業が増える中、デジタル社内報はESG経営の一環としても評価されます。
社員に対しても「環境配慮の姿勢」をアピールできる点が魅力です。
デジタル化の注意点と失敗しないポイント

デジタル化には注意すべき点もあります。
導入後に「思ったより読まれず、運用が続かない」と悩む企業も少なくありません。
よくある課題と失敗しないポイントを紹介します。
課題1. 情報過多による“見てもらえない”問題
社内メールやチャット通知が多いと、社内報の情報が埋もれてしまうことがあります。
配信頻度を調整し、テーマを絞ることが大切です。
タイトルやサムネイル画像を「読みたくなるデザイン」に工夫すると良いでしょう。
課題2. ITリテラシーの差
社員のITスキルにばらつきがあると、閲覧環境によっては利用されにくくなることもあります。
スマホ・PCどちらでも見やすいレスポンシブデザインを採用し、操作ガイドを用意することで利用率を高められます。
課題3. セキュリティ対策の不足
クラウド型を採用する場合は、情報漏えいリスクに注意が必要です。
アクセス制限、パスワード管理、通信の暗号化など、セキュリティ要件を満たしたツールを選ぶことが重要です。
課題4. 運用体制の未整備
「ツールを導入したけど、運用が続かない」というケースも多く見られます。
広報・総務・人事などが連携し、編集チームを明確に設置することも重要です。
発信の目的や方針を定め、継続的に改善できる体制づくりを整えると良いでしょう。
課題5. “紙の良さ”を失わない工夫
紙の社内報には、「ゆっくり読める」「保存して読み返せる」といった利点もあります。
完全なデジタル化にこだわらず、重要な特集だけ冊子化するハイブリッド運用も効果的です。