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ローコード開発は本当に効率的?メリット・デメリットを徹底解説

システム開発の現場で「ローコード開発」という言葉を耳にする機会が増えています。
少ないコード記述でアプリケーションを構築できるこの手法は、開発スピードや生産性の向上が可能です。
一方で、導入時には特有の制約についても理解する必要があります。

本記事では、ローコード開発の特徴、メリット・デメリット、活用に向いているプロジェクトの特徴、成功に向けたポイントを、実務に基づいた視点でわかりやすく解説します。

ローコード開発とは

ローコード開発とは、コード記述を最小限にし、GUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)による操作でアプリケーションを構築する手法です。
プラットフォーム上で用意されたUI部品・データ連携・ワークフローなどのコンポーネントを組み合わせて開発できるため、従来のスクラッチ開発に比べて作業工程を大幅に削減できます。

必要に応じて一部のコードを追加できるため、ノーコードよりも柔軟性が高く、機能拡張も容易です。

ローコード開発の主な利用シーン

ローコード開発は、以下のような社内業務アプリで多く活用されています。

  • 経費精算や勤怠管理などの申請系システム
  • 在庫管理や顧客管理といった定型業務アプリ
  • 新サービスのプロトタイプ(試作品)開発
  • レガシーシステムの段階的な刷新

定型化された処理が多い領域では標準機能で十分対応できるため、短期間かつ低コストでの開発が可能です。

ローコード開発のメリット

開発期間の短縮

最大の魅力は、開発スピードの速さです。コードを書く工程が大幅に減り、プラットフォーム側でテスト済みの部品を利用できるため、設計・実装・テストの工数をまとめて圧縮できます。
その結果、従来は数ヶ月かかっていた開発が数週間で完了することもあり、市場投入までのスピード向上に直結します。

開発コストの削減

工数が減ることで、エンジニアの稼働時間や外部への委託費用を抑えられます。
また、業務内容に精通した担当者が開発に参加できるため、内製化を進めやすく、長期的なコスト削減にもつながります。

IT人材不足への対応

GUI中心の開発手法により、非エンジニアでもアプリ構築に参加できる点は大きなメリットです。
業務部門が主体となる「シチズンデベロッパー」体制が構築しやすく、IT部門への負担も軽減されます。

ローコード開発のデメリットと注意点

カスタマイズの限界

標準機能を前提とした開発であるため、複雑な業務ロジックや独自仕様が多いシステムには不向きです。
実現したい要件がプラットフォームの範囲を超えている場合、無理に実装しようとすると逆に効率が悪くなるケースもあります。

ベンダーロックインのリスク

特定のプラットフォームに依存するため、他サービスへの移行が難しいという制約があります。
将来の料金改定やサービス仕様変更があった場合にも、選択肢が限られる可能性もあるため注意が必要です。
導入前に以下の点を確認しておきましょう。

  • 提供企業の信頼性・市場シェア
  • データ移行手段の有無
  • 他システムとの連携性

セキュリティとガバナンスの課題

開発のハードルが低いことで、IT部門を経ずに各部門がアプリを作ってしまう「野良アプリ」が発生するリスクがあります。
適切なルールや承認フローがないと、情報漏洩や業務混乱につながる可能性があります。
全社的なガバナンス体制を構築し、セキュリティ基準や開発ルールを明確にしておくことが不可欠です。

ローコード開発が向いている業務と向かない業務の見極め方

すべてのシステム開発にローコードが適しているわけではありません。
プロジェクトの特性に応じた適切な判断基準を明確にしましょう。

ローコード開発が適しているケース

以下の特徴を持つプロジェクトは、ローコード開発のメリットを最大限活かせます。

  • 申請・承認、在庫管理といったパターン化された業務プロセス
  • 小〜中規模で影響範囲が限定的
  • プロトタイプを素早く作りたい
  • 仕様変更が頻発する可能性が高い
  • 開発期間を短縮したい

標準機能で実装できる部分が多いほど、開発効率は飛躍的に高まります。

従来のスクラッチ開発が適しているケース

一方、以下のような場合は従来のスクラッチ開発が適しています。

  • 業務ロジックが複雑で、高度なカスタマイズが必須
  • 基幹システムなど、大規模・高負荷で長期利用前提
  • 長期的な拡張性や自由度を確保したい
  • ベンダーロックインを避けたい

ローコードでは対応できない範囲が多くなると、むしろ負担が増えるため慎重な判断が必要です。

ローコード開発導入を成功させるポイント

ローコード開発を効果的に活用するためには、以下の3点が重要です。

目的と要件の明確化

「何をどこまでローコードで作るのか」「どの業務を効率化したいのか」を明確にし、ローコードで実現可能かを事前に検証します。
小規模なパイロットプロジェクトから始めるのも有効です。

適切なプラットフォーム選定

プラットフォーム選定は、ローコード開発の成功を左右する重要な要素です。
必要な機能、連携方式、拡張性、サポート体制などを比較し、自社に合ったツールを選択します。

ガバナンス体制の整備と教育

組織全体で活用するには、適切なガバナンス体制の構築が不可欠です。

  • 開発・運用ルールの策定
  • セキュリティ基準・データ管理ルールの明確化
  • 社内研修やスキルアップの機会提供

このような体制を整えることで、ローコード開発の効果を全社的に最大化できます。